| 「財政構造改革プラン《素案》」 の内容と問題点(1) |
橋下知事は2年前の就任直後、2008~10年度を集中改革期間とする「財政再建プログラム【案】」(以下【案】)をまとめ、大規模な歳出削減をすすめてきた。そして知事は、さらに徹底した歳出削減を実施するため、8月5日、2011~13年度を計画期間とする「財政構造改革プラン《素案》」(以下《素案》)を発表した。《素案》の内容と問題点を紹介する。 |
| 改革効果額・収支不足額への対応(単位・億円) 教員不足への影響が懸念 |
今回の要対応額は左の表の毎年600億円。そのために具体化された歳出改革(削減)・歳入確保策は、要対応額よりはるかに少なく、最下段の収支不足が残った。収支不足は、職員給与(教員・警察官・一般行政職員の計約9万人)の減額などで処理される。 現在、市町村立小中学校の教員不足が深刻になっている。7月には「大阪府 教師41人欠員 公立中 給与カット響く?」という見出しの新聞記事もあった。この教員不足が、今後さらにひどくならないのか、心配だ。 |
| 私立高校授業料支援補助金を拡充し、 府立高校の再編整備(削減)へ |
《素案》の要旨は、次のとおりである。 公立・私立高校における学校間の競争条件を整え、生徒・保護者の学校選択の自由度をさらに拡大する観点から、私立高授業料支援補助金の拡充を検討する。 拡充にあたっては公立での受け皿がある私立小中学校に対する経常費助成のあり方など、私学助成全体のさらなる見直しを図る。 数年後には再び生徒減少期に入る見込み。加えて、公私間の競争条件の整備を今後すすめることによって、公私間の生徒の流動化がすすむ。こうした背景を踏まえ、府立高等学校の再生整備の考え方を検討。 わかりやすく表現すれば、私立小中学校への経常費助成を削減し、その分を私立高校授業料助成拡充に回して私立高校生を増やし、生徒が減った府立高校は減らそうとする。 府立高校を運営する責任を放棄するもので許されない。 |
| 府営住宅の将来ストック(戸数)を半減 |
府営住宅は現在138,000戸。《素案》は「府営住宅の将来戸数半減」を掲げた。 理由の一つに《素案》は、「耐用年限の70年以内での建設(建替)を行うと仮定した場合(約2000戸/年)、2042~43年度において、大幅な建替戸数増が必要(増加分約1万戸)」とか、「平準化して建替えた場合(約2330戸/年)、年あたり330戸約50億円の事業費が必要」などと記し、府営住宅の戸数維持(耐用年数内に全戸建替え)は不可能なように主張する。 しかし、建て替えが困難になる2042~43年度は32年後のことである。それを理由に現時点で将来戸数半減をいうのは早計である。 また《素案》は、「入居できた人とできなかった人との受益の大きな差」という見出しの下に、 府営住宅:平均面積54㎡、平均家賃23,152円/月、 民営借家(非木造):平均家賃1,414円/㎡×54㎡=76,356円/月 (76,356円-23,152円)×12ヶ月×22年=1,405万円 などの数字を並べ、「平均居住年数約22年間で約1400万円という大きな受益の差が生じている」と主張している。 しかし府営住宅の受益が76,356円であるなら、年間受益総額は76,356円×12ヶ月×138,000戸=1,264億円となる。 その受益を生み出すための年間コストは510億円(2010年度府営住宅予算)。そのコストには、家賃収入も、国庫補助金も含まれている。《素案》は受益の差を強調するが、少ない資金で大きな受益を生み出す府営住宅の役割は紹介しない。 さらに《素案》は大阪の全賃貸住宅空家率が19.9%との数字を示し、「民間を含めた住宅ストックの活用も可能とする借り上げ公営住宅やバウチャー(家賃補助)制度等の検討をすすめ、国に対し制度改正を提言」とも書き、「将来戸数半減」を合理化する。 現在、大阪では高家賃、狭い、設備が不十分などの民間賃貸住宅に居住している世帯は数多い。総合募集における高倍率は、下の表の通り、今も続いている。 |
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| その現実の解決を《素案》はバウチャー制度に求めているが、バウチャー制度はまだ検討開始の段階で、集中豪雨のように補助金を削減する橋下府政の下では、実現性のめども立たない。不確かなバウチャー制度を理由に府営住宅半減を打ち出すのは、無責任である。 2年前の財政再建プログラム【案】の策定時には、就任直後の知事が府営住宅の戸数削減を強く迫ったのに対して、府の住宅まちづくり部は強力に抵抗し、戸数削減は【案】に盛り込まれなかった。 この2年間、大阪の住宅事情に大きな変化はない。 それなのに今回の《素案》に「将来戸数半減」が盛り込まれた。この変化は、府営住宅の削減を執拗に求めてきた知事の姿勢の反映であり、府の住宅政策のあからさまな後退を宣言したものだ。 |
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